データラングリングとは
データラングリングとは、生のデータを目的に適した形式に変換し、構造化することで、データの質を向上させ、分析や機械学習でより扱いやすく、有用にするプロセスです。また、データラングリングはデータマンジングとも呼ばれます。
データラングリングのプロセスでは、複数のソースからのデータの変換、クレンジング、強化が行われることが一般的であり、分析データをより正確で有意義なものにすることで、より良い問題解決、意思決定、成果につなげることができます
データの収集と利用においては、複数のデータソースからの多様で非構造化データが増加したことも相まって、今日の企業は大量の生データの処理に追われており、分析のための準備作業には多くの時間とコストがかかっています。
セルフサービスでのアプローチと分析自動化を取り入れることで、表計算ソフトなどによる手作業でのデータ変換作業で起こり得る人為的なエラーを排除し、データラングリングのプロセスをスピードアップし、精度を高められるようになります。
セルフサービスラングリングが重要な理由
データセットの複雑化にともない、より広範な分析のためにデータの選別、クリーニング、前処理により多くの時間を費やさなければならなくなっています。一方で、あらゆるビジネス上の意思決定にデータが活用されるようになっているにもかかわらず、ビジネスユーザーが技術リソースに割ける時間はますます少なくなっています。
その結果、セルフサービスツールによってデータ分析を民主化する必要性が高まっています。データラングリングツールを備えたセルフサービス分析プラットフォームを用いれば、アナリストがより複雑なデータに迅速に取り組み、より正確な結果を出し、より良い意思決定を行うことが可能になります。このようなデータラングリングの利点から、分析前の準備にデータラングリングツールを使用する企業が増えています。
データラングリングの仕組み
データラングリングには5つの主要なステップ(探索、変換、クレンジング、強化、保存)があります。
探索: データ探索(データディスカバリー)は、データセット内のパターンや傾向、不完全な情報や欠損を特定する手法です。探索は主にレポート作成やデータ可視化、トレーニングモデルの作成時に行われますが、分析中に新たな発見や洞察が得られることもよくあります。
クレンジング:手入力、不完全なデータ、センサーから自動収集されたデータ、または機器の故障などが原因で、データにエラーが生じることは珍しくありません。データクレンジングでは、これらの入力エラーを修正し、重複や外れ値、欠損データを削除すると同時に、統計的または条件付きモデリングを用いて欠損値を補完し、データの質を向上させます。
変換: データの変換や構造化は非常に重要な工程であり、早い段階で実施しないと、他の処理に支障をきたす可能性があります。データ変換では、データを適切な型や形式に整え、レポート作成、データの可視化、分析やモデリングプロセスに活用できる状態にします。また、新しい変数(特徴量)を作成したり、データに新たな関数を適用することも可能です。
強化: データのエンリッチメント(強化)やブレンディングによって、定評あるサードパーティの国勢調査、企業統計、人口統計データなどの追加ソースを統合し、データセットの有用性を高めることができます。データを強化することで、組織内のデータからさらなるインサイトを引き出したり、より多くの顧客情報を取得・管理することが可能になります。また、このステップは、どのようなデータを追加すれば、より優れたレポートやモデル、ビジネスプロセスを実現できるかを戦略的に考察する際にも役立ちます。
検証: 検証ルールとは、データの一貫性、品質、セキュリティを確保するために繰り返し使用されるプログラム手順です。検証の例には、正規分布すべき属性(生年月日など)の均一な分布を確認することや、データ全体をチェックしてフィールドの正確性を確保することなどが挙げられます。憲章は、データラングリングのプロセスにおいて不可欠なステップです。
保存:ラングリングプロセスの最終ステップでは、監査、理解、将来の反復利用に向けて、最終的な成果物を、実行された全工程や変換作業とともに保存または保管します。
データラングリングの利点
データラングリングにより、情報の分析と解釈が容易になり、次のような多くのメリットが得られるようになります。
- 明確性と理解度の向上:データが整理されていなかったり、大規模で解釈が難しいデータセットに直面した経験がある方なら、データの意味や活用方法が理解できず、もどかしさを感じたことがあるかもしれません。データを適切に整理しておくことで、Tableauなどのデータ可視化ツールでのレポート作成が各段にスムーズになります
- データの一貫性:日常業務では、サードパーティーなどからの複数のデータを扱う場面が少なくありませんが、データの種類が増えるほどにエラーが発生しやすくなります。データラングリングの重要なステップであるデータセットの一貫性を保つ作業により、サードパーティデータに起因するエラーや形式のばらつきを排除し、分析の精度を高めることが可能になります。
- データの正確さと精度の向上:データの操作や変換方法によっては、特にパターンや傾向の特定時に、分析結果の正確さや精度に影響を及ぼす可能性があります。データラングリングを行うことで、数値データとして情報を整理したり、列単位ではなく表全体でデータをまとめたりできます。このように類似するデータをグループ化することで、分析の精度をさらに高めることができます。
- コミュニケーションと意思決定の改善:データの明確性と正確性を高めることで、誰もが短時間でデータを理解・解釈できるようになります。これにより、チーム間の理解とコミュニケーションが深まり、コラボレーションの強化や透明性の向上、より良い意思決定につながります。
- コスト効率:ミスの削減、データの整理、コラボレーションの円滑化によって、時間の有効活用とコスト削減が実現します。例えば、徹底的にクリーニング・整理されたデータを活用することで、ミスを防ぎつつ、レポート作成や機械学習モデルの構築時間を短縮できます。一貫性のあるデータセットを使用することで、既存のアルゴリズムの再利用や、データサイエンスや自動機械学習を活用した新しいアルゴリズムの適用がスムーズになり、データサイエンティストの負担が軽減されます。
これからのデータラングリング
これまでデータラングリングは、データベース管理についての豊富な知識を持ち、SQLやR、Pythonを使いこなせる開発者やITスタッフの専門領域とされてきましたが、分析の自動化によって、煩雑な表計算シートを用いることなく、データサイエンティスト、データアナリスト、ITスタッフなど、データ業務に関わる誰もが同様に、複雑なデータを容易に扱い、分析することが可能となっています。
データラングリングツールを使ってみませんか?
Alteryx DesignerとDesigner Cloud(旧Trifacta Wrangler)はノンプログラミングのGUIを採用しており、技術的な知識がなくても、ビジネスユーザーが簡単に監査・反復可能な方法でデータを整理できます。
Alteryxプラットフォームでは、分析のあらゆるステップで、データラングリングツールを利用することができます。
- 変換ツール(アレンジ、集計、転置など)
- 準備とクレンジングツール(フォーミュラ、フィルタリング、クレンジングなど)
- データ強化ツール(ロケーションインサイト、ビジネスインサイト、行動分析など)
データラングリングのテンプレート
データラングリングテンプレートは、データラングリングプロセスにおけるスピードや効率性、データの正確性を高めるのに役立ちます。
表計算ソフトでデータラングリングを行うことは可能ですが、人的ミスの恐れがあるうえに、関数やスクリプトを用いたプロセスは再現が困難です。さらに、特定の種類のデータしか処理できないという問題もあります。
Rのようなオープンソースのプログラミング言語でもデータ処理は行えますが、スクリプトを用いたとしても非常に時間のかかる作業になります。また、データセットも大規模になりがちで、リソースのひっ迫にもつながる恐れがあります。
データラングリングの効率化に向けて、多くの企業が、Alteryx Designer Cloudのようなデータラングリング用のテンプレートやツールを提供しています。
If you’re looking to speed up your data wrangling process, check out these starter kits, which work with the Alteryx Analytics Automation Platform. They cover multiple use cases and industries, plus include integrations with popular data lake and data warehouse services.